ユービーライフ

「教科書的な『べき論』は押し付けない」──お客様の社風に寄り添い伴走する支援の形

作成者: Admin|Sep 30, 2026, 2:00:01 AM

ユービーセキュアで働く一人ひとりのストーリーと本音に迫る連載「だから、ユービーセキュア。」。今回は、セキュリティデザインコンサルティング部でお客様の課題に合わせて支援を組み立て、隣で共に走り続ける“伴走型”のコンサルティングを担う木下 綾さんに語っていただきました。

木下 綾

コンサルティング事業本部 セキュリティデザインコンサルティング部

父親がサイバーセキュリティ領域で働いていた影響もあり、高校生の頃から進路としてセキュリティを意識。専門学校とのご縁から新卒入社し、最初の4~5年は脆弱性診断業務に打ち込む。その後、当時の上長である日高と共にセキュリティデザインコンサルティング部(デザコン)を立ち上げる。現在はマネジメント職として部全体の案件を管理しながら、Vex事業部も兼務。休日はARG(代替現実ゲーム)の謎解きに没頭している。

本当に困っているのは診断のその先。サービスの型に対する葛藤から生まれた「伴走」の原点

父親がサイバー領域の仕事をしていた影響で、高校生の頃からこの世界が視界の端にありました。「この領域なら食いっぱぐれないだろう」という将来性と、脆弱性を探すパズルのような作業が純粋に好きだったこともあり、ユービーセキュアに新卒で入社しました。

最初の数年は脆弱性診断の業務に没頭し、手を動かした分だけ結果が出る仕事は自分の性にも合っていました。しかし、経験を重ねるにつれて、小さなモヤモヤが溜まり始めたのです。

脆弱性診断は、決まった型に沿って正確にこなすほど評価される仕事でした。ただ、お客様の課題感は必ずしもその型に収まるわけではありません。

「お客様のリアルな課題感を、無理やりこちらの決められたメニューの枠に合わせなければならない」――。

本当に困っているのはもっと先なのに、今のやり方では対応できない現実に直面し、もどかしさを感じることが増えていきました。

自分の裁量でこっそりカスタマイズして応えようとしたこともありますが、組織としてサービスを提供する以上、一人のスタンドプレーに頼るわけにはいきません。お客様のニーズに応えたい想いと、サービスという「型」の中で立ち回らなければならないルール。そのもどかしさの間で生まれた葛藤こそが、私が「伴走支援」をやりたいと願った最初の種でした。

その後、同じ問題意識を持っていた上長の日高と共に、セキュリティデザインコンサルティング部(デザコン)を立ち上げることになります。最初期に担当したのは、脆弱性診断の内製化を目指すお客様の支援でした。当時の私たちには実績がなく、頼れるのは長年蓄積した診断のノウハウだけ。「自分がやってきた診断業務をお客様が自走して出来るようにするには」を手探りで、お客様と対話を重ねながら組み立てていきました。

既存の枠組みに無理やり当てはめるのではなく、お客様の習熟度や社風を意識し、一緒に仕組みをつくり上げていく。この地道な支援をやり遂げたとき、「これが本当の伴走か」と実感できました。

教科書通りの「べき論」は押し付けない。先生ではなく隣を歩く伴走者へ

この原体験から、絶対に譲れない軸が定まりました。それは、「教科書的なものを押し付けない」ということです。

私は「コンサルタント」というものに、どこか上から目線で、豊富な経験を背景に「こうあるべきだ」という正論を押し付けるイメージを持っていました。私たちが目指すのは「正解を教える先生」ではなく、隣を常に歩き、同じ悩みを共有する存在です。

国や公的機関が発信するガイドラインは正しいですが、往々にして抽象的です。「目指すべき理想」はあっても、「どうたどり着くか」のプロセスには正解がないことが多い――。だからこそ、私たちは「べき論」を一方的に突きつけることはしません。

教科書通りなら「Aの後にBをやる」のが王道でも、お客様の組織のパワーバランスやリソースでは無理だとわかれば、「一旦、Bは置いておきましょう」と提案します。完璧な正解のパッケージを押し付けるのではなく、70%の支援でもいいから、お客様のリスクや課題感を一緒に考え、優先順位をパズルのように組み替えてチューニングしていく。この柔軟さこそが、私たちが届けるべき本質的な価値だと信じています。

「実績がない」で手を振り払わない。お客様の社風に寄り添う、地道なパートナーシップ

この姿勢を最も深く試されたのが、古くからのお客様である小売・流通業のお客様との関わりでした。

元々は脆弱性診断のスポット依頼が中心でしたが、あるとき「セキュリティ全般のルール作りや運用も手伝ってくれない?」とご相談をいただいたのです。当時のデザコンは立ち上がったばかり。「実績がないので難しいです」と断ってしまうのは簡単でしたが、せっかく差し出してくれた手をどうしても振り払いたくなくて、「できないなりに、こういうアプローチで一緒に考えてみませんか」と提案し続けました。お客様が求めていたのは、完璧な正解を売る会社ではなく、「一緒に悩み、成長してくれるパートナー」でした。

最初はふわっとしたルールの整理から始まりましたが、次第に「社内に専門チームを立ち上げたいので、一緒にカリキュラムをつくり、指導も担ってほしい」と依頼いただくようになりました。今でもこの継続的な支援は続いています。

この関わりを通じて、「一般の企業の中にセキュリティを浸透させることがどれほど難しいか」を経験し、現場の社風に合わせたアプローチが必要なのだと学びました。

理想論を掲げて開発現場に強引にルールを押し付けても形骸化するだけ。対面接客で「お客様を大切にする」文化が深く根づいた会社でしたので、小難しいITのロジックではなく、「情報を守ることが、お客様を大切にする文化そのものなんですよ」と伝えていきました。お客様ごとに組織の空気を読み、社風に合ったご提案をしています。

今はセキュリティ自動化ツール「Vex」の事業部も兼務しています。現場の気付きをツールへ、ツールの知見を現場へ——その往復を実現するのが本来の役割だと思っていますが、正直まだ形にはできていません。プロダクトを売る組織と、人の手で支援を組み立てる組織。それぞれに大切にしている文化があり、どう融合させるかを模索しています。

小さくても「意思のある変化」を残したい。お客様と描く、理想の支援のあり方

コンサルティングという仕事は成果が見えにくいものですが、「私たちが関わったからには、どんなに小さなことでもいいから、お客様の中に『意思を持った変化』を残すこと」を絶対的な提供価値として定めています。私たちの支援が終わった後、お客様の組織が以前と何一つ変わっていないのだとしたら、介在した意味がありません。

さきほどお話しした小売・流通業のお客様も「私たちはこのレベルを目指したい。まずはここから進めたいのですが、どう思いますか?」と、主体的に協働していただけるようになりました。進むべき道を一緒に議論し、役割分担を決め、隣り合わせで歩んでいく――。この関係性が、私にとって理想の支援です。

これほど深く現場と信頼を築けたのは、脆弱性診断員として長くシステムを触ってきた技術者のバックグラウンドがあるからじゃないかと思っています。現場の開発者が「めんどくさい」と感じる技術的な痛みを、同じレベルで理解できるからです。机上のルールではなく、現場と「一枚岩」になって解決策を語り合えます。

これからも、その技術のバックボーンを静かな強みにしながら、お客様の隣を歩き、彼らの中に確かな変化を残し続けていきたいですね。

マイブーム

 

現実とフィクションが交差する「ARG」の世界で、パズルを紐解く楽しさ

最近夢中になっているのが「ARG(代替現実ゲーム)」です。現実のSNSで情報を集め、実際の捜査資料を分析しながら、自ら事件の真相や謎を解き明かしていくゲームです。決められたレールを進むのではなく、主体的に情報をつなぎ合わせ、パズルのように答えを組み立てていく面白さ。それは、お客様の複雑な社風や組織の現実に合わせて、一から泥臭く支援のプロセスをパズルのように組み立てていく「伴走支援」の楽しさと、どこか深くつながっているのかもしれないですね。