ユービーライフ

コンサルティング事業の出発点

作成者: Admin|May 20, 2026 1:38:50 AM

ユービーセキュアの歩みは、セキュリティをもっと身近で、チャレンジを楽にするものへと変えていくための挑戦の連続でした。本連載「あの時の決断」では、今日に至るまでの数々の選択と、その裏にある想いに迫ります。

 

今回は、創業以来、脆弱性診断サービスと脆弱性検査ツール「Vex」の開発を展開してきたユービーセキュアが、なぜセキュリティコンサルティング事業に乗り出したのか――。その決断の背景にある「顧客への伴走姿勢」について、コンサルティング事業本部長の日高さんに伺いました。

日高 和夫

コンサルティング事業本部 本部長

2007年のユービーセキュア創業時から在籍。脆弱性診断サービスにおいて、非定型の高度な案件や新規領域の開拓を牽引。現場でお客様の困りごとに直接触れてきた経験から、診断結果を渡すだけではない「伴走型支援」の重要性を痛感し、コンサルティング事業の組織化と拡大に尽力。お客様の参謀として信頼される組織づくりを目指している。

マニュアルのない問いに、お客様と手探りで挑み続ける

ユービーセキュアの創業は2007年。「サイバーセキュリティ」という言葉が日本にようやく広まり始めた頃でした。

セキュリティをもっと身近に、当たり前のものにしたい。こうした想いで脆弱性診断サービスとVexの提供を開始し、セキュリティのちからで「お客様がもっと楽にチャレンジできる世界」の実現を目指してきました。

※Vex誕生ストーリーはこちらの記事でご紹介しています (https://ublife.ubsecure.jp/06-01

その一方で、創業メンバーの一人である日高さんは、既存の診断メニューの枠を越え、前例のない案件を一手に引き受けていました。「お客様からイレギュラーなご相談が来たら、とりあえず日高へ」。そんな社内の空気感の中で、日高さんは道なき道を切り拓いていきます。

日高さん:お客様のお困り事のなかには、通常の診断メニューでは対応しきれないものが多くありました。社内に前例はなく、正直、私も最適解を知っているわけではありません。それでもお客様からしたら、我々はセキュリティのプロ。頼られた以上はなんとか解決したいと思っていました。そこで徹底的に調べて、「ここまでなら検証できます」と一歩踏み込んだ提案をしていました。そうやってお客様と一緒に手探りで「正解」を見つけ出す姿勢は、当時から自然と根付いていましたね。

診断だけでは解決できない「お客様の困りごと」

日高さんが今でも忘れられないのが、iPhoneが登場し始めた頃のエピソードです。

日高さん:とあるお客様から「iPhoneのセキュリティリスクを調べてほしい」と依頼されましたが、当時はまだまだ“ガラケー”が主流の時代。実は私自身もほとんどiPhoneを触ったことがない状態でした。

それでも手探りでとにかく情報を調べ、道筋を整理して「ここまででよければぜひ一緒に取り組ませてください」とご提案。お客様には大変満足していただいたそうです。


一方で、事業が順調に成長し、多くの企業で診断サービスやVexの導入が進むにつれて、単に「脆弱性を見つけて報告する」だけではお客様の真の課題解決ができない、という違和感が現場に生まれていました。

日高さん:診断結果をお渡しすると、お客様から切実な声をよくいただくようになりました。「問題点は分かった。でも、サイトの開設が来月に迫っているのに、具体的にどこまで直せばいいの?」「経営層にはどう説明したらいいの?」といった相談です。

日高さんは、診断結果に基づいて脆弱性を指摘して終わるのではなく、「どうすれば事業を止めずに安全に進められるか」というルールづくりからお客様に伴走する必要性を強く感じていたといいます。

たとえ未知の領域でも逃げずに一緒に悩み、正解を探す。現場で伴走を重ねる中、日高さんたちはある壁に突き当たります。それは「技術的に正しいことを伝えるだけでは、お客様の組織を動かせない」という現実でした。

日高さん:現場の担当者が上層部を説得して対策を実行するためには、報告だけでは不十分です。例えば業界の標準的なフレームワークや他社比較といった客観的な裏付けがあってこそ、組織を動かす説得力が生まれると気づきました。

診断の枠を越えた個別対応を重ねることで、会社の知見や実績の幅は確実に広がっていました。しかし、それを個人の頑張りに頼って既存事業の片手間で続けることには、構造的な限界がありました。

日高さん:お客様の困りごとに、より深く責任を持って向き合いたい。そのためには、イレギュラー対応としてではなく、組織として体制を整え、正式な事業としてコミットする必要がありました。

コンサルティング事業の立ち上げは、現場の限界と可能性の中から必然的に導き出された決断だったのです。

見えてきた価値:会話が「指摘」から「相談」に変わった

こうして立ち上がったユービーセキュアのコンサルティング事業は、組織化によってお客様との関係性を劇的に変えました。以前の「診断ベンダーと発注者」という関係から、お客様のセキュリティ戦略をともに描く「参謀」へと進化したのです。

日高さん:最も変わったのは会話の中身です。以前は「この設定は脆弱です」という“点”の議論が中心でしたが、今は「3か年計画でセキュリティをどう底上げすべきか」という“線”の話になっています。お客様のキーマンの隣で、将来の脅威にどう備えるかを一緒に組み立てる。まさに伴走型の支援を実現したことが、最大の価値だと思います。

単なる知識の提示なら、他のコンサルティングファームでもできます。では、なぜユービーセキュアが顧客から選ばれるのか──。その理由は、日高さんがチームメンバーに常々伝えている「ギブ(Give)の精神」にあります。

日高さん:私が大切にしているのは、ギブの精神です。自分たちの商材を売ることよりも先に、まず「お客様が何に困っているか」を考え、それを解決するために実行できるサポートを惜しまないこと。些細な情報提供でもいいから、まずは相手のために動くこと。その積み重ねが信頼関係の土台になると考えています。

こうしたギブの精神は、組織全体に根付いてきています。日高さんがそれを実感したのは、あるチームメンバーが担当したプロジェクトで、成果物を受け取ったお客様からの言葉でした。

日高さん:「ここまでやってくれるなんて、神(かみ)ってる」。そう絶賛していただそうです。ただ単にお客様から言われたことをこなすのではなく、「どうすればお客様が楽になるか」と一歩踏み込んで考える顧客第一の姿勢が、チームの当たり前になっている。そこを高く評価していただいたことが、「ユービーセキュアさんから買いたい」というご指名につながり、困ったら頼れる安心感につながるのだと思います。

会社のあり方を変えた、事業化という決断

コンサルティング事業の立ち上げは、ユービーセキュアが「技術の会社」から「課題解決のパートナー」へと自己定義を更新する、経営の大きな転換点となりました。

日高さん:コンサルティング事業を始めたことで、より多くのお客様のチャレンジを後押しできるようになりました。私たちの理想は、最終的に「セキュリティの仕事がなくなること」です。テクノロジーの進化でセキュリティが当たり前になり、誰もがリスクを気にせず新しいサービスを楽しめる世の中をつくりたいと思っています。

ユービーセキュアが目指すのは、お客様が“重荷”から解放され、本来やりたい事業や創造に集中できる世界。そのために、時には泥臭く、時には最先端の技術を用いて、お客様の隣でセキュリティを支え続けています。

日高さん:セキュリティは決して怖くありません。最初から自力で完璧を目指そうとせず、もっと「楽」をしていいと思います。私たちのような伴走者が隣にいますから、一緒に悩み、楽になり、そして新しい挑戦を楽しんでいきましょう。

……ちなみに私は、セキュリティの仕事が本当にいらなくなったら、テクノロジーで農作業を効率化する「スマート農業」をやってみたいですね。

大変なものを「楽」にして、未来の可能性を広げたいという日高さんの想いは、セキュリティにも農業にも通じる、ユービーセキュアの根底に流れるDNAなのかもしれません。